はじめに
近年、日本の住宅の「断熱性能」が向上する傾向にある事をご存知でしょうか。
日本国内では「住まいと健康」に関する様々な調査が行われており、その結果として「住まいの室温」が健康に大きく関わる事が分かってきました。
住まいの室温には「断熱性能」が大きく影響しています。
その結果、2021年からは「住宅の省エネ基準適否の説明義務化」が施行される事になり、新築住宅等においては建築士が設計段階で省エネ性能を計算し、その性能についてお客様に説明をする事が義務づけられます。
しかし、まだまだ設計者・施工者の知識の向上や技術の普及が十分では無いため、まだまだ取り組みが遅れているのが現状です。
新築でも満足度が低くなりがちな「室内温熱環境」
住まいの居住後の満足度では、「間取り」や「耐震性能」・「デザイン」等が上位に来るのに対し、「室内温熱環境」は満足度が非常に低い事が、東京大学の研究室の調査でわかっています。
間取りやデザインのように実際に目に見える要素と比較すると、「室内温熱環境」というのは目に見えない上に確実な保証ができないという点で非常にデリケートな要素です。
そのため設計者・施工者側からは十分な提案が行われていない事がアンケートの結果からわかります。
住宅の快適さが法律で守られていない国、日本
WHO(世界保健機構)は、「住む人の健康を害しない室温は18℃」と発表しています。
それに伴い、EU圏の国々では18度以上の室温を維持できる断熱性能・設備性能の住まいになるよう法律で定めています。
では日本では室温を維持するためにどのような法律が定められているのでしょうか。
実は、日本では断熱に関する法律が定められていません。
住まいの断熱をする義務基準が存在しないため、住まいを作る設計者・施工者のさじ加減で断熱している状態です。
先に説明した2021年に施行される「住宅の省エネ基準適否の説明義務化」も説明が求められているだけで基準に適合させる義務はありません。
元々は2020年に住まいの断熱に関する義務基準が日本でも施行される予定でした。
しかし、断熱に関する知識を持ち合わせている設計者・施工者がまだまだ不足しているため、2020年での義務化は見送られ、その結果として2021年の「説明義務化」という形に落ち着きました。
つまり日本ではしっかりと断熱された家で暮らすのはまだまだ当たり前ではないという事です。
日本の家は隙間だらけ?断熱よりも先に大事な「気密」
日本の家づくりで問題となっているのは断熱だけではありません。
実は住まいには様々な隙間が存在しており、家の中の空気はその隙間から外へ漏れています。
例えば、冬は暖かくなるように暖房を使っているのに、暖かい空気は様々な隙間から外に漏れているのです。
どれだけしっかりと断熱をしても隙間風が吹き込んでしまっては断熱の効果を十分に発揮できないため、断熱より先に気密をしっかりと行う必要が有ります。
≪h2≫断熱で変わる冬の暮らし
では、断熱と気密をしっかりと行った住まいではどのような暮らしができるのでしょうか。
まずは冬の暮らしをご紹介します。
冬の朝、寒くて布団から出られないという経験は誰しも持っているのではないでしょうか。
高断熱の家ではそれが有りません。家全体が魔法瓶のような保温性を有するため、仮に前日の夜に暖房を切ったままでも翌朝の室温はほとんど下がらないのです。
断熱のしっかりと施された住まいは外気温の影響を受けにくく、エアコン1台で住まい全体を暖房する事も可能になります。
その結果多くの暖房器具が不要になるため、部屋の中がスッキリとします。
窓は外気の影響を受けやすく家の中で一番熱の出入りが多い部分です。
冬場はよく結露を起こし、そこからカビが発生する等の問題も発生します。
しかし、断熱性能が良い窓を採用する事で、家の温度を温かく保つだけではなく、結露を無くす事ができます。
室内の温かい空気が外気で冷えきった窓に当たると空気が冷やされて結露を起こしますが、窓自体の断熱性能が良いと空気が冷えないため、結露には至らずに済むのです。
住む人の体にも変化があります。体の冷えがなくなる事から免疫力が向上します。
近畿大学の行った調査で、断熱性能の高い住まいに転居した人の健康状態を調べたところ、「気管支喘息」「アレルギー性鼻炎」「アトピー性皮膚炎」等の症状が改善・緩和される相関関係が明らかになっています。
また、家の中での温度変化が少ない事から、血圧の乱高下が起こりにくくなり、高血圧等の持病にも改善効果がある事もわかっています。
冬だけじゃない、断熱で変わる夏の暮らし
では、夏の暮らしはどうでしょうか。
冬暖かい=室温が高い=夏暑い
という連想をしてしまいそうですが、実は高断熱高気密の家づくりは夏にも効果があります。
外の熱が屋内に伝わり難いという性質は夏も変わらないため、冷房費用を抑えた生活ができます。
また、熱中症対策としても効果があります。
しかし、その性質が仇となり、熱が外に逃げ難くなる面もあります。
外から窓を通して入って来る日射熱に対しては、庇やシャッターで上手に遮断する事も快適に過ごす上で重要なポイントです。
ゼロエネルギー住宅は本当に快適?
屋根の上で太陽光発電を行う事で、生活する上で必要な電力を全て賄う「ゼロエネルギー住宅」が増えてきました。
ゼロエネルギーと聞くと健全でお財布にも優しいイメージをお持ちではないでしょうか。
家の中で使うエネルギーが100だと仮定すると太陽光発電で得るエネルギーが100あればゼロエネルギー住宅になります。
では、使用する100のうちの90を冷暖房で使っているとしたらどんな暮らしでしょうか。
生活で使うエネルギーの9割がエアコン等の空調機器に回る事になるので、そのような家はきっと断熱性能が悪く、隙間だらけで暮らし難いのではないでしょうか。
今度は、冷暖房で使う90のエネルギーが、断熱・気密をしっかりと行う事で40まで減らせたらどうでしょうか。
家で使うエネルギーの総量は100の半分の50まで減りました。そうすると太陽光発電で得るべきエネルギーも50で事足りるので、太陽光発電パネルの設置費用も安くなります。
つまりゼロエネルギー住宅は必ずしも快適で経済的とは限りません。
太陽光発電によるエネルギーをどれだけ多く取り入れても消費するエネルギー量が多くては快適な暮らしには決してなりません。
快適で省エネな家は注文しても手に入らない?
先に申し上げたように、日本には住まいの省エネに関する義務基準がまだ存在していません。
「夏涼しく冬暖かい家づくりの方法」が当たり前のものになっていない現在の日本では、手当たり次第に業者に頼んでも本当に快適で省エネな家は手に入らないのが現状です。
設計者や施工者などのプロの取り組みが遅れている今、「快適で省エネな家」を手に入れるためには、依頼をする側もしっかりと勉強しなくてはいけません。
きちんとした知識を持つ住宅メーカーや設計事務所・工務店では、設計した家の断熱性能を示す数値を一棟一棟算出しています。
そういった数値を提示してくれる会社かどうかは、一つの目安になります。また、断熱性能を示す数値を正しく比較するにも、正しい知識が必要になります。
「わからないことは全部おまかせ!」ではなく、これから先の暮らしのために正しい知識を身に着けて、間違いない設計者・施工者と一緒に住まいづくりを楽しみましょう。
失敗しない「住宅会社・ハウスメーカー・工務店」の選び方
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この記事を書いた人
記事の執筆はHALが委託したライターがしました。
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なお、著作権はライターとの請負契約の規定によりHALに帰属します。
HALプロフィール
2016年にセキスイハイムで60坪の注文住宅を建てる際に、価格交渉で1100万円以上の値引きに成功しました。
これからセキスイハイムで家を建てる方に『セキスイハイムから1100万円の限界値引きに成功した価格交渉方法』などをお伝えします。
また、間取り・不動産登記・固定資産税・住宅設備など幅広い知識を基に住宅に関する様々な情報をお伝えします。
保有資格:宅地建物取引士
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